AfterEffects用テンプレートで作成したウェディングムービー映像に、オリジナルの動くイラストを追加する方法をご紹介させていただきます。
プロフィールムービーやオープニングムービーなど結婚式で上映するビデオのほとんどは写真がメインかと思いますが、デザイン要素だけでなくそれらの写真の上にも簡単にイラストを追加することが可能です。このページでは、単なる固定のイラストではなく「画面上で描きあがっていく」「動きのあるイラスト」の描き方をご紹介させていただきます。
自分で簡単制作!フリープロフィールムービー
利用するテンプレート:黒板風プロフィールムービー
プロフィールムービーの中でも手書き風のイラストがとてもマッチする作品です。今回はこちらのテンプレートを使って、内部に挿入されているイラストを削除し、オリジナルの絵に差し替えるという手順でご紹介させていただきます。
ステップ1:元々のイラストを確認して削除します
まず一度標準の状態を確認しておきましょう。
名前の下に線を引くイラストと、矢印のイラストが挿入されています。
このイラストがどこに挿入されているのか・・・、出力16:9コンポジション内に挿入されている「全体編集用コンポジション」を展開して探します。時間のインジケータ(タイムラインの縦の赤い線:どの時間帯かを指す)と重なっているレイヤーが今画面を構成しているレイヤーになります。
赤い四角の中にイラストを構成するレイヤーを発見しましたので「Delete」キーで削除します。
(初心者の方はひとまず削除してみて、間違っていたら[Ctrl+Z]で戻すことも出来ます)
これで元々挿入されているイラストが除去されます。
出来たスペースを使って、オリジナルのイラストを追加していきたいと思います。
ステップ2:シェイプレイヤーで自由にイラストを描きます
AfterEffects内でイラストを描く手順は様々ありますが、今回はシェイプレイヤーという機能を活用してみたいと思います。直感的で初心者の方にも使いやすいツールかもしれません。
シェイプレイヤーは画面上部のペンのマークのツールです。ツールを切り替えたら画面内を自由にクリックしてつないで、イラストを描くことが出来ます。今回はハートマークを描いてみました。
具体的な手順は・・・
- レイヤーを選択している状態であれば、選択を解除して(タイムラインの空白を一度クリックして、何も選択していない状態にする)
- ペンツールに切り替えて
- 画面内をクリックしながら線をつないでいく
という流れです。
何かレイヤーをひとつでも選択してしまっている状態ですと、このシェイプレイヤーの機能とならずに、「マスク」と呼ばれる別の機能が発動します。マスク機能になると、パスのみとなって画像のような線とはなりません。
正しく線が描けなかった方は、タイムライン(画面下部の領域)の空白を適当にクリックして、レイヤーの選択状態を解除してから、もう一度画面内にイラストを描きましょう。
正しくシェイプレイヤーとしてイラストを書くことが出来ると、下部ライムラインパネル内の最上部に「シェイプレイヤー」というレイヤーが出現します。このシェイプレイヤーがあるかどうかでも、正しくイラストが内部に挿入されたかどうかの参考に出来るかもしれません。
ステップ3:描いたイラストにアニメーションを追加します(ファイルをダウンロード)
線が浮かび上がってくる・・・と言いますか、画面内で今描かれているかのように線が徐々に出現するアニメーションを追加したいと思います。
AfterEffectsの場合、このような線が徐々に描かれていくアニメーションを自作する方法は本当に様々考えられます。
標準エフェクトにも[線]や[ブラシアニメーション][ペイント]等いくつか線を描けるものがいくつか用意されていますね。他にもパーティクルを活用した線やペンタブレットを使って実際に絵を描く軌跡を使った線など、位置のデータとデザインを作成する機能とを様々組み合わせる事で、色々な線の表現を自作することが出来ます。
ただ今回は・・・とっても簡単な方法(&ファイル)をご紹介させていただきます。
NONNOFILMで既にプリセット化したファイルを用意させていただきましたので、そのプリセットファイルをご自身で描いたイラストに適用するのみです。
それだけで自動的に描いた線のイラストが徐々に出てくるアニメーションが追加されます。NONNOFILMの製品版をお使いの方はプリセットページからデータをダウンロードしてお使いください。
データのダウンロードが出来ましたら、解凍してAfterEffectsの編集画面に戻ります。
具体的な編集手順は・・・
- まずアニメーションを追加したいシェイプレイヤーを選択します
- 画面上部の「アニメーション」メニューから「アニメーションプリセットを適用」と進みます。
- ダウンロードして解凍を行ったフォルダ内から「シェイプレイヤーで動く線を描く_○秒」を選択します
※秒数の記述の無いものはレイヤーデュレーションでの動作になります
これだけで基本的には描いた線にアニメーションとチョークで描いたかのような質感が加えられます。
ハートのイラスト線に動きが加わったのをご確認いただけるかと思います。
ステップ4:色や質感、タイミングの調整を行います
色の変更
色の変更はシェイプレイヤーの「▼」ボタンを押してプロパティを表示させて、「線」の項目からカラーを変更することで可能です。「エフェクト」「描画」「塗り」などでも色を加えることが出来ます。
質感の調整
エフェクトパネルに表示されているラフエッジエフェクトの項目から「淵」の値を変更することで、文字のかすれ具合を調整できます。
今回は黒板風のプロフィールムービーでの調整となりますので、カラーは白で、線はチョークで描いたようにかすれた線に調整しています。線の太さやレイヤーの大きさでこの値はみな異なるので、ご自身の描いた線に合わせて、淵の値を調整してください。
ただのきれいな線(べた塗りの線)に戻したい場合には、このラフエッジエフェクトそのもののを「Delete」キーで削除することも出来ます。
タイミングの調整
イラストが描かれ始めるタイミングは、レイヤーのインポイント(端の部分)をドラッグすることで出来ます。
イラストが描かれ終わるタイミングは、各プリセットに「_1秒」「_2秒」「_3秒」とありますように、適用したプリセットに設定されている秒数によります。
※もっと長い時間に調整を行いたい場合には、[EE]とキーを押して表示される項目内から秒数を直接入力してください。
完成映像
そのほかにも同じ要領で様々イラストを追加してみました。
新郎新婦にまつわるイラストを描いて追加すれば、プロフィールムービーがより一層オリジナリティを持ったものになりますね。
手順のまとめ
ここまでの手順をまとめて復習してみます。
- 元々挿入されているイラストが邪魔であれば、イラストのレイヤーを探して消します
(シェイプレイヤーで描かれていないイラストレイヤーも多くありますので、頑張って探しましょう) - シェイプレイヤー機能を使ってイラストを任意の場所に描きます
- プリセットファイルをダウンロードして適用します
- 質感はお好みで調整してください(必要な方は)
という流れになります。
プリセットファイルを活用するとアニメーション処理を大幅に軽減できるため、初心者の方でもイラストを追加しやすいのでは無いでしょうか?
さらにこの編集方法を応用すると、背景部分だけではなく写真そのものにイラストを追加していくといった処理も可能になります。デザイン部分のコンポジションを調整するのが難しい方は、写真差し替えスペース内で、写真の上にイラストを追加するというのも良いアイデアかもしれません。
編集中のテンプレートで色々試されてみてください。