顔は写真で体がイラストやCGになっているオープニングムービーや結婚式の余興用の映像を自作する方法のご紹介です。
ウェディングで上映する自作ビデオの一コマなどに活用してみられてはいかがでしょうか?
このページでは以下のような表現を目指します。

顔は写真で体はイラスト

“顔は写真で体はイラスト”な表現

初心者の方には少し敷居が高い編集方法かもしれませんが、結婚式向けの面白系オリジナルムービーを目指しておられる方は、是非ご参考にされてください。

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顔の合成編集に必要なもの

顔写真の合成を行うためには、

  • 切抜きが出来ている顔の写真
  • 背景に配置するイラストの動画フッテージ

が必要です。

写真の切り抜きに関しては別のページで紹介されていますので、こちらのページでは省略させていただきます。

切り抜いた写真を用意します 手順は省略します

切り抜いた写真を用意します
手順は省略します

フリーで公開している素材等ではないので大変恐縮なのですが、このページで使われている素材は以下のページで公開されています。

http://www.nonnofilm.com/movie/wedding/profile/self-design/puppet

 

動きを合わせる必要性

上記のサンプル画像では静止した状態なのでわかりづらいかもしれませんが、単純に背景に新郎新婦がダンスするイラストの動画フッテージを配置して、前景に切り抜いた顔写真を配置しただけでは合成は出来ません。”動きも合わせて”合成を行う必要があります。

以下の動画をご覧頂くと、その意味がよく分かるかと思います。

動きがあっていないので、顔だけが浮いた状態になってしまっていますね。

このようなダンスするイラスト動画フッテージと顔写真を合成する編集では、この動きもマッチさせる編集を行う必要があります。頑張って手動で1コマ1コマ編集していってもいいのですが、こういった動きを解析する機能が搭載されている編集ソフトもありますので、今回はソフトウェアの便利な機能を使って編集を行います。

モーショントラッキングの利用

編集ソフトの中にはモーショントラッキングと呼ばれる、「動きを解析する」機能が搭載されているソフトウェアもあります。トラッキング専門のソフトウェアというのもいくつも存在しますが、今回行う2D平面状の動きを解析するだけであればトラッキングの中でも初歩の初歩という程度なので、ビデオスタジオ等に搭載されているような簡易的な機能でも編集が出来ます。

今回こちらのページではAfterEffectsを用いて、背景に配置した新郎新婦がダンスするイラスト動画フッテージの動きを解析しつつ編集を行います。

NONNOFILMで公開されているウェディング衣装でイラストがダンスする背景用のファイルには、トラッキングを行いやすいようにトラック用のポイントが挿入されています。
この点の位置を基準に、ソフトウェアの機能を用いて位置を解析すると編集を比較的簡単に行えます。

facecomp_image2

トラッキングを実際に行います

AfterEffectsでは、トラッキング専用のウィンドウレイアウトが用意されていますので、そちらを利用されると編集が行いやすいかも知れません。
ウィンドウメニューから「トラッカー」にチェックを入れてトラッキングのメニューを表示させることも出来ます。
「トラック」を選択して、新郎もしくは新婦のイラストの上部にある”点”を選択範囲として囲みます。

facecomp_image3

その際大きな囲みとして体の方のラインまで選択範囲として覆ってしまった方が、精度が上がるかもしれません。

facecomp_image4

範囲の選択が出来たら、再生マークを押してトラッキングを行います。すると点の動きが位置情報としてデータ化されて、その位置情報を様々なレイヤーで活用することが出来るようになります。

解析した位置のデータを、新郎もしくは新婦の顔写真レイヤーに適用します。(解析したイラストに適用したい顔写真へ)
AfterEffectsでは、「ターゲット」で解析した動きを適用したいレイヤーを選択して、「適用」ボタンで適用を行うことが出来ます。

facecomp_image5

ここまでで出来ている映像

解析した動きを、既に切り抜いて配置してある新郎の顔写真に適用しました。
これで動きも適用することが出来たのをご確認いただけるかと思います。

さらに同じ要領で、新婦分の動きもトラッキングし、データ化しておきます。必要に応じて、位置だけではなく体の傾きなどの「回転の情報」も取り出すことが出来ます。さらに詳しい操作はAfterEffectsのマニュアルや書籍等もご参照ください。

位置の修正を行う場合

トラックした位置や傾きのデータを写真に適用すると、位置や傾きがまったく違う場所にずれてしまう・・・という方もおられるかと思います。

位置がずれてしまっている

位置がずれてしまっている

こういった場合に、ダンスするイラストの動画フッテージから抜き出したモーションデータを適用した「顔写真」そのものを動かしてしまうと、キーフレームが途中で飛んでしまったりと、特に初心者の方は修正に困ってしまうかもしれません。

修正の良い方法として、「ヌルオブジェクトとの親子関係を用いる」という方法があります。

ヌルとの親子関係

ヌルとの親子関係

上部メニュー「レイヤー」「新規」「ヌルオブジェクト」と進み、ヌルオブジェクトと呼ばれるレイヤーを新規で挿入します。
下部のタイムラインパネル内の「親」という項目から、挿入したヌルオブジェクトを選択します。(上記画像では「新婦コントロールヌル」と名前が変更されています)
すると、そのヌルオブジェクトと、切り抜いて配置してあるヌルオブジェクトとの間に親子関係が成立し、切り抜いた顔写真がヌルオブジェクトを追従するようになります。

この状態で、ヌルオブジェクトの位置や回転を調整すると、先ほど適用したアニメーションのデータに影響を与えることなく自由に調整することが出来るようになります。

※ヌルを使わずにキーフレーム全体の位置や傾きを調整しても良いですし、先にヌルを入れておいてヌルにトラックデータを適用してから顔写真をその子にするなどでも同じような調整が出来ます。

位置の調整を行った後の動画

新郎新婦どちらのイラストの動きも写真に適用できると、以下のように動きのあった状態を作成することが出来ます。

さらに余力のある方は、ここから顔写真そのものの回転やスケールといったプロパティもアニメーションさせて、顔が大きくなったり小さくなったり、さらには顔が傾いたりといったアニメーションも追加していくことが出来ます。以下の動画では傾きをカクカクとアニメーションさせています。

やっぱり難しい場合は・・・テンプレートなら簡単です

少し自分には難しいなと感じられた方は、テンプレートの利用がお勧めです。
今回行った、動きを解析して写真に適用するといった編集手順を、まったく必要としないテンプレートも公開されています。
こちらは既に上記のような必要なアニメーション処理がすべて完了していますので、写真を挿入するだけで実際にダンスする動きとマッチさせた映像を自作することが出来ます。

ご興味のある方はテンプレートもご活用ください。>>こちらから

ゲストが踊りだすオープニングムービー

ゲストが踊りだすオープニングムービー

まとめ

このページで利用した「動画フッテージを用いて、背景がイラストで顔だけが新郎新婦の顔写真」といった映像表現を自作するためには、以下のものが必ず必要になります。

  • 切り抜いた顔写真(写真を切り抜く作業も必要です)
  • ダンスするイラストの動画フッテージ
  • 素材を重ねることが出来るソフトウェアの機能
  • 動きをトラッキング(追跡・解析)できるソフトウェアの機能

残念ながら、必要な機能がないムービーメーカーなどではこういった映像表現は作成することが出来ません。このページで紹介されているようなダンスするイラストの表現の自作を目指される方は、もう少し高度な編集が行えるソフトウェアを用意して編集に臨んでいただければと思います。

顔が写真で体がイラストな映像表現を本当にゼロから作りたいとなると、自分で体のイラストを描いてからアニメーションさせたり、CGでモデリングを行ってからリグを組んでアニメーションさせたりと、かなり本格的な知識と技術とさらには高額なソフトウェアが必要になってきます。初心者の方にはこういった動画フッテージを使う方法かテンプレートを活用する自作方法がおすすめかと思いますので、NONNOFILMの動画フッテージやテンプレートを是非ご活用いただければと思います。

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